砂糖漬茄子
『加越能文庫』に十二代加賀藩主前田斉広(なりなが)公正室夙殿(真龍院)の
『御百ヶ日忌の御用留帳』がある。後に曹洞宗大本山永平寺大禅師となられた
天徳院の森田悟由(もりたごゆう)住職が記したものだが、その中に中陰の茶湯
(さとう:法事料理)の香の物として『粕漬平瓜』と共に『砂糖漬茄子』ガ出てくる。
現代の感覚からすると、甘いものを香の物とするのは奇異に思われるが、加賀藩臣
津田玄蕃(げんば)家の献立控にも登場していることから推測すると、当時は一般的
だったと考えられる。おそらく、茄子を甘炊きにして砂糖に転がした、濡れ甘納豆と
オランダ煮の中間のようなものだったのではないか。
ところで、量はさほど多くなかったようだが、加賀藩でも砂糖を産出していたことが、
産物方に任ぜられた村井家の文書『加越能産物方自記』に記されている。
安永十年(1781)~天明五年(1785)の記録だが、それによると安江町の薬種屋
北村屋三郎兵衛が生産に携わっていた。黒砂糖は上々だが、白砂糖の精製は
難しいなどと記されており、当時の事情をうかがわせて興味深い。
北國新聞 出版局 月刊「アクタス」より
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