小倉饅頭

金沢の代表的な正月菓子『福梅』の意匠は加賀藩主前田家の家紋『剣梅鉢』を
象ったものとされているが、これは誤りだろう。そもそも、藩主の家紋になぞらえた
菓子を庶民が口にするとは考えられない。

私の聞いている限りでは、元来は京都・三条油小路の加賀藩邸に、茶道千家が
年賀として届けていた菓子であり、意匠はあくまで『梅の花に雪』である。
立体的な煎餅種を用いていることから推察すると、千家が創案したのは
文化・文政年間(1804~1830)と思われる。また、『福梅』の原型は、禁裏御用の
川端道喜製『寒紅梅』ともいわれている。

『小倉饅頭』はこの『福梅』の弟分というべき菓子である。紅葉をかたどった優雅な
煎餅種の中に、『福梅』と同じ小倉あん(粒あん)が入っており、天宝から嘉永のころに
『福梅』が表面に粉砂糖を散らすのに対し、『小倉饅頭』は白蜜を塗る。

創案したのは英町(はなぶさちょう)にあった菓子屋能登屋次平といわれているが、
紅葉の名所である小倉山と小倉あんをかけて命名するに当たり、教養ある文化人の
かかわりをうかがわせる。

春用は桃色、秋用はこがし(焼き色)と使い分け、『福梅』と同様、金沢の菓子屋が
こぞって売り出していたが、当時の事情を伝承する知識人の減少や、第二次世界大戦で
金沢の菓子職人や種を焼く金型が減ったこともあって、残念ながら戦前で姿を消した。

北國新聞 出版局 月刊「アクタス」より

【加賀ゆかりの菓子について】

この菓子は、加賀の菓子文化の歴史を再現するため特別に作られました。
そのため販売は一切しておりませんのでご了承くださいませ。

記・加賀百萬石 【加賀ゆかりの菓子】

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上製本/化粧ケース入り
定価10,000円(消費税込み)

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百万石ゆかりの菓子 — @ 2008年3月26日 4:32 PM

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